藍染めの技法について少しずつご紹介していこうと思います。
後日、写真撮影できたら更新するつもりです。気長にお待ちください。
後々文章を見直す可能性もあります。悪しからず。
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【抜染(ばっせん)/型】
牧禎舎でもこれまで何度かしてきた抜染のうち、型を使った抜染についてご紹介します。
抜染は、先に布などを藍染めして、青くなった部分の色を白く色を抜く脱色の技法です。
乾いた布を抜染するので、大抵は藍染めした日とは別の日に抜染作業をすることになります。
抜染に使用する型は、主に型紙を自分で切って作成します。
型紙に空けた穴の部分が白い色になります。
●必要な道具類
1)型
2)紗
3)デザインカッターなど
4)抜染剤
材料は染色店で購入出来ます。ネット通販もあったりするのでチェックしてみてください。
・藍熊(浅草)
http://www.aikuma.co.jp/・SEIWA(高田馬場)
http://seiwa-net.jp/・田中直染料店(京都)
http://www.tanaka-nao.co.jp/1)型について
和紙に柿渋を塗って耐水性を増した渋紙や、簡易な洋型紙などがあります。
1回きり使うだけなら耐水性のある紙状のものなら代用が効きそうです。
型紙の代用としてシルクスクリーンを使用することが出来ます。
・シルクスクリーン屋さんで製作してもらうスクリーンは使用出来ました。
・サン描画スクリーン(新日本造形)は使用出来ました。
・Tシャツ君(太陽精機)は抜染剤に弱い可能性がありますが、一気に4〜5枚程度刷って終了で良ければ手軽にグラフィックや写真で製版することが出来ます。
↑田中直染料店の抜染剤(型用)はシルクスクリーン(の目の細かさ)でも使用できました。
ほかの抜染剤とシルクスクリーンではまだ試してみたことがないので分かりません。
シルクスクリーンを使う場合は、目が粗いほうが抜染剤が通りやすいです。

2)紗について
網戸の網のようなもので、彫ったあとの型紙に張ることで図案をくり抜いて孔だらけになった型紙の補強になります。
シルクスクリーンは紗を目止めしてるようなものなので、型をシルクスクリーンで作る場合は紗は不要です。
型に紗を張る作業は道具も必要でひと手間と時間がかかるので、紗張りされたアルミ枠などがあるとラク出来ます。
糊置き用の紗張りアルミ枠は牧禎舎にもあるので牧禎舎内で作業する場合、お貸し出来ます。

3)デザインカッターについて
ちゃんとした型紙職人さんのような彫刻刀がなくても、ちょっと型を彫る程度ならばデザインカッターで充分作業出来ます。下敷きは普通のカッティングボードではなくて、もっと柔らかく厚みのある型彫り用のビニール下敷き等を使うと、カッターの刃が折れにくく、しかも小回りが効きます。
4)抜染剤(抜染糊)について
染色店により特色があるので詳しくはお店の方に問合せて自分に合ったものを選んでください。
へら(出刃ベラやスキージ等)があると作業しやすいです。
牧禎舎では田中直染料店さんの藍模様糊 綿白抜-CW型用と、藍熊さんの無臭藍抜染用糊101を使用したことがあるのでそれを参考に書きます。どちらも糊だけでなく助剤なども合わせて必要になります。
特色としては、藍模様糊 綿白抜-CW型用は時間によって中間色も出せたり、作業工程が少なく単純です。固めの大和糊みたいな感触で、最後に水で洗う際に気をつけないと溶けた糊がほかの部分の色も抜いてしまうことがあります。
シルクスクリーンの目でも通ります。
無臭藍抜染用糊101は、粘度はあまりありません。(混ぜ物をして固さを調整することも出来ます)水ですすぐ際に、溶けた糊がほかの部分を白く抜いてしまうようには感じられませんでした。といっても手早くすすぐのが良いと思いますが。シルクスクリーンを通したことがないのですが、固さを考えると微妙そうです。
↓藍熊さんの抜染剤
●工程
1)図案の大きさを決める。図案を描く。
2)型紙にカーボン紙などで図案を写し取って、図案に沿って切り抜く。
3)場合によっては紗を張る
4)抜染。完成。
1・2)図案を描く&切り抜く(=彫る)
図案を描くときは切り抜く場所がはっきり分かるように描きます。切り抜くと紙からバラけてしまうパーツがないように図案を考えると紗を張る作業がないのでラクです。
バラけてしまうパーツがあるときは、まずは全て切り取らず型紙から離れないように吊りで繋いでおきます。吊りは紗を張るときにカッターで切って取り除くのでなるべく細くします。吊りを残したまま使用するときも、吊りの部分は抜染剤が乗らないので、絵柄への影響をなるべく少なくするため吊りを細くしたほうが良いです。
図案の周りは5cmくらい余白を残すと作業しやすいです。


3)紗張り
紗を張る作業はサイズが大きくなるほど結構大変でもあり、ちょっと楽しくもある作業です。
型紙を使用した場合で吊りを残したくない場合や、何度も使用したい・期間を空けても使用したい場合は紗を張ったほうが強度もついて保管がしやすくなるので張りたくなります。
牧禎舎では道具はSEIWAさんで購入してます。テトロン紗(絹もあります)、ハケ2本、接着剤としてカシューという人工漆を使用します。カシューの溶剤も必要です。溶剤は除光液のような臭いなので換気できる場所で作業してください。
何日かに分けてしっかりカシューを塗ると良いらしいので作業日程に余裕持ったほうが良さそうです。カシューが完全に乾く前に吊りをカッターで切って取り除きます。
カシューを塗ったあとはよく乾燥させ、乾いたら抜染の工程へ進めます。

4)抜染
用意した抜染剤に合わせて、助剤などを調合します。大体調合してから2時間以内が有効期限です。いつでも拭き取れるように濡れタオルを用意しておくと良いかも。
藍染めした布の上に作った型を置いて、型がずれないように押さえながら糊(抜染剤)をヘラなどで置いていきます。よく布に染み込んだり、糊に厚みをもたせたほうがよく色が抜けます。厚みがありすぎるととろみで形が崩れて図案に影響があることもあると思います。
糊を置いたらしばらく放置します。(使用した抜染剤により時間が違います)
その後、水で糊をよくすすぎ、抜染剤によっては更に色止め等して完成です。